美術など

2014年04月25日

会 期

2014年3月25日(火) 〜 2014年5月18日(日)


会 場

東京国立博物館 平成館(上野公園)


俵屋宗達の最高傑作、国宝「風神雷神図屏風」を全期間展示

4月22日(火)〜5月6日(火・休)は海北友松筆「雲龍図」の全8幅が揃い

尾形光琳の重文「風神雷神図屏風」を、本館7室「日本美術の流れ」にて展示

http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1632




平日なのでわりと空いていた。

栄西の坐像から始まる。茶室、たくさんの僧侶の坐像、文書などの後、屏風、掛け軸の展示。

伊藤若冲「雪梅雄鶏図」は色が非常に美しかった。

最後に俵屋宗達の「風神雷神図屏風」。それまでの展示物が前座だったかのようにどかんと置かれている。もちろん迫力はある。顔が愉快で漫画的な表情に見えた。

絵画作品を見るという点では少し物足りない企画だった。

fujin






常設展である本館の光琳のほぼ模写も見てみた。特別展を見てもこちらを見に来る人は少なかった。本館なので撮影可能。宗達の屏風に比べると迫力はないが、色鮮やかだった。

去年改装してオープンした東洋館に。非常に空いていた。エジプトの展示室にはミイラが置かれていた。

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2013年05月24日

場所:三菱一号館美術館

奇跡のクラーク・コレクション ― ルノワールとフランス絵画の傑作」展
会期: 2013年2 月9日(土)〜5月26日(日)
主催: 三菱一号館美術館、読売新聞社、クラーク美術館. クラーク美術館(米国マサチューセッツ州ウィリアムズタウン)

http://mimt.jp/clark/top.html


先週行ってみて30分待ちだったので諦めてまた行ったら30分待ちで結局は同じだった。日本人は本当に印象派が好きなんだ。

全73作品中59作品が初来日。クラーク美術館はアメリカの田舎の美術館でよっぽど目的で行かない限りアメリカ観光に行っても見ることはない。だから、見られる時に見ておかないとほぼもうお目に掛かれないということで奇跡の〜と謳っている。

目玉はルノワールで、ルノワールの作品がこれだけの数が日本でしかも一つの美術館で見られるのも珍しい。ルノワール作品は22点。結構良いのが来ている。ルノワールとか印象派のが来ていると宣伝していてもさほど良くないのが一点か数点ということが展覧会によってはあるが、外れはなかった。

最初にバルビゾン派。地味なところから始まる。2部屋ぐらい進むとモネの「小川のガチョウ」「エトルタの断崖」が並んでいる。非常に明るい色彩で立ち止まる。
次の部屋はルノワールの絵が並んでいる。たまねぎの静物画、ふわりとした淡い感じに見とれてしまう。

印象派に対してのサロンにいた作家の絵画も紹介されていた。画力もあるし、それまでの絵画に求められていた重層的な表現もあって当時のフランス政府に買い取られて公的な評価も受けていた。だが、現代では印象派のほうが有名になってしまっているという価値の変遷が面白い。表現技法やそれまでの絵画の対象にならないものへの視点というものを除くと印象は以前の物のほうが大衆娯楽として楽しめたというのは分かるような気がした。

マネの花瓶、ドガの様々な向きの競走馬たち、レッスン場の踊り子たち。キャバレーのポスターで有名なロートレックの油彩2点。
そして、最後の部屋。ルノワールの絵が並ぶ。童顔なのに体はぼってりした裸婦。青いスカートに埋もれそうな青みがかった猫を抱く眠る少女が印象に残った。

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2013年05月18日

場所:神奈川県立近代美術館 葉山
会期:2013年4月6日〜5月26日

http://www.moma.pref.kanagawa.jp/exhibition_hayama/repin/repin/index.html

快晴で、非常に清々しい日だった。ちょっとした旅行気分を味わうことが出来た。

去年、文化村で見てまた関東に戻ってきたので行く。博物館の日ということで無料だった。文化村は都市の美術館なので狭くて入場料も高いが、アクセスは良い。しかし、ここはバスか自動車で行く距離でアクセスが非常に悪い。しかし、入場料は高くなく、広々とした空間で絵画の配置がゆったりしていてじっくりと見ることが出来る。ベンチに座ってゆっくり眺めることが出来る。

音声ガイドでロシア文学研究の亀山教授の特別解説があった。名古屋に外国語大学学長になっていたことを知る。

どの絵も描きこまれていて見るだけで幸福感を得られる。労働者の顔の表情が豊かであったり、歴史的な場面の物語を描きこむのが非常にうまい。大きな額の「皇女ソフィア」の怒りに満ちた目は凄まじい。「ゴーゴリの自殺」、習作であるが「イワン雷帝とその息子」などはそのシーンを切り取ったような飛び出てきそうな真実味がある。決闘を描いた絵があった。決闘は本当に絵になる物語性を内在しているテーマであると思った。

「思いがけなく」は近くにいた男の人がこれは傑作だと言っていた。まさにその通りだった。映画、写真などでは表現できない一瞬の表情を描き、またそこからくみ取れる重層的なことを描きこんでいる。奥の壁に掛かった絵が背景を示し、革命をにおわせている。

妻や息子、女優を描いた縦長の絵は服の質感、ディテールが素晴らしい。

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2013年03月18日

the_falling_soldier

ロバート・キャパ
「共和国軍兵士、コルドバ戦線、スペイン」
1936年9月初旬 横浜美術館蔵

NHKで沢木耕太郎がキャパが撮った崩れ落ちる兵士は本当にキャパが撮ったもので兵士が撃たれて命を落としたのかを検証する番組を2月に放送した。この写真に関してはネガもなく、オリジナルプリントもなく、キャパ自身が撮ったものかは疑わしく、また戦場ではなく訓練で兵士は滑ってしまっただけなのではということが推測された。この説を取ると非常にしょぼい真相になってしまうが、この写真はナチスに立ち向かう象徴としてもてはやされ、同時にキャパの報道写真家としての名を広めることになった。本質がどうだったかというよりも写真が独り歩きしてしまったことが非常に面白い。

実際に写真を見ても死に行く瞬間にしては緊迫感が欠けているようにも見えた。

そもそもロバート・キャパというのはアンドレ・フリードマンと恋人でもあったゲルダ・タロー(本名ゲルタ・ポホリレ)の二人によって創り出された架空の写真家であった。タローは岡本太郎から取った。ゲルダはスペイン内戦の取材中に暴走した戦車によって死亡した。26歳だった。

この展示では最初のほうのゲルダ・タローの作品が多く見られるのが利点である。彼女のほうがどんどんと突き進んでいった。死後、キャパは死を恐れないかのように戦場に入って撮るようになる。戦場の写真以外にも日本に来た時の写真も展示されていた。それは観光写真と大差なかった。仲が良かったヘミングウェイ、恋仲でもあったイングリッド・ バーグマンのポートレイトもあった。


1944

上記の写真は第二次大戦が終わり、ナチスに加担してしまった女性は坊主にさせられ周りの人々が見ている。人々の中には彼女を見て笑っていたりもする。森達也さんは戦前と戦後で立場が変わり、人間の暴力性みたいな物が浮き上がった写真ではないかと言っていたように記憶している。



ドキュメンタリー作家の森達也さん:

キャパの決意表明ですよね。本来、中立、客観、公正というドグマを大事にするのであれば、戦場で写真を撮る時にどうすればいいのか。敵と味方の間のポジションから撮るのが中立ですよね。出来るはずないですよね。そんなことをしたら、あっという間に死んじゃいます。つまり、写真を撮るということはどっちかに加担するということなんです。ドキュメンタリーも一緒なんですけれども。いわゆる、エンベントですね。言い換えれば、感情移入です。ということはそこに中立だの客観だの公正性というのはかけらもないんですよ。あるのは自分の思いであり、主張であり、主観であり、それを出さなければいけない。僕はキャパがそう言っているんだと解釈しています。

二人が映りこんでいる写真があるんですね。ゲルダはさっそうと胸を張って歩いていて、キャパはちょっと遅れて後から付き従っている感じの写真なんです。二人の関係性をシンボライズしている感じがして私は好きなんです。ゲルダは前にいるんです。キャパはその後ろ姿を見てきたんです。キャパはこのフレーズを使ったのはゲルダ亡き後ですよね。半歩前に行けと。自分に対しても言ったんじゃないかと思います。

(2013年3月3日放送「日曜美術館」より抜粋)


横浜美術館なので常設展も見られる。シュールレアリズムの部屋はいつ見ても絵に惹きつけられる。


ロバート・キャパ/ゲルダ・タロー 二人の写真家
場所:横浜美術館
2013年1月26日(土曜)から3月24日(日曜)まで
休館日木曜日(ただし1月31日は開館)
開館時間10時00分から18時00分まで(入館は17時30分まで)
一般 1,100(1,000)円/大・高校生 700(600)円/中学生 400(300)円/
小学生以下 無料

http://www.yaf.or.jp/yma/jiu/2012/capataro/index.html



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2012年09月07日

yamada





山田五郎さん:



近代ロシア絵画の巨匠を紹介します。

ロシアのアートというと、20世紀に入ってからのロシアン・アバンギャルドとかが有名ですが、19世紀帝政ロシアの時代の画家というとあまりピンとこないかもしれない。だけれども、音楽のチャイコフスキー、文学のレフ・トルストイに相当するとあのチェーホフが言った画家がいるんです。それがイリヤ・レーピンという画家です。


evening-party


これがレーピンが描いた『夕べの宴』(1881)

レーピンは現在のウクライナ出身です。これはウクライナの農民の日常を描いた作品です。コサックダンスを踊っています。コサックはウクライナの半農半武人の共同体のことなんですが、まさにウクライナの伝統的な農民のささやかな宴ですよね。表情が凄い豊かですよね。貧しくても豊かに生きる人々を描いているんですが、何度も言っていますが、西洋美術の王道というと、歴史画や宗教画なんですよね。普通の暮らしの普通の農民をわざわざ描くんじゃないよと言われた時代にレーピンはあえて民衆の暮らしをリアルに描いた。きっとレーピンは若い頃にイタリアとパリに留学しているんですよ。パリに留学している時に例の記念すべき第一回印象派展を見ているんですね。当時のパリのありのままのリアルな現実を描いていくという運動にも感化されて自分たちの農民のありのままの姿を描こうとしたんだと思います。

Self_portrait


『自画像』(1887年)

いかにも19世紀的なロマンチックな感じのする人なんですが、線が細そうに見えますが作品は非常に骨太で。

レーピンが生きた19世紀後半のロシアは近代化に立ち遅れていて封建的なものが残っている国だった。国民の80パーセントぐらいが農奴と呼ばれる奴隷同然の土地を設けない農民たちで彼らの犠牲の上に残りの20パーセントの富裕層、特に貴族たちが華やかな文化を謳歌していた時代。そんな時代なんですが、レーピンは貴族文化を描くのではなくて、リアリズムの旗手として民衆の生活を描いたわけですね。

Barge Haulers on the Volga


『浅瀬を渡る船曳き』(1872年)

『ヴォルガの船曳き』の下絵ですが、ご覧の通り牛や馬の代わりに人間が船を曳いている貧しい労働者たちの日常をリアルに描いた作品なんですね。完成した『ヴォルガの船曳き』は美術アカデミーの副総裁だった貴族、大公の注文で描いた美術アカデミーに展示された作品なんですね。でも、レーピンはそんな注文の中でも民衆のリアルな暮らしを描いていったんですよね。

こういう人なので後のロシア革命にも関心を持っていて、

gathering


『集会』(1883年)

都市の人々の暮らしですね。インテリの青年が都市の民衆を集めて我々はこのままでいけないんじゃないかと啓蒙活動をしている絵です。革命前夜の緊張感ある感じがひしひしと伝わってくるような作品です。

レーピンはロシア革命が起きた後、革命以前から民衆を描いていた労働絵画の英雄として持ち上げられてしまう。だけれども、レーピン自身は革命というのはきれいごとばかりではなくて、たくさんの血が流れたわけですよね。流血の革命を嫌って、表に出てこなくなった。レーピンが住んでいた村はフィンランド領になってしまう。ソビエト政権を取ったレーニンやなんかがレーピンは英雄だから帰ってきて下さいと手紙を出したり、使者を出したりしたんだけれども、私はソ連に帰る気はないと言ってずっとそこで過ごした人なんですよね。ちなみにレーピンが住んでいた村はサンクトペテルブルクの北のほうですが、後にまたソ連領になって現在はサンクトペテルブルクとその周辺の歴史的建造物は世界遺産に指定されています。レーピンの住んでいた家も今レーピン美術館となって歴史的建造物の一つとして世界遺産になっています。

今、Bunkamuraのザ・ミュージアムで日本では過去最大のレーピン展が10月8日まで公開されています。

(2012年09月06日)


http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/12_repin/index.html

レーピン展



巡回

浜松市美術館 2012年10月16日(火)〜12月24日(月・祝)
姫路市立美術館 2013年2月16日(土)〜3月30日(土)
神奈川県立近代美術館 葉山 2013年4月6日(土)〜5月26日(日)[予定]





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2012年07月07日

yokosuka


山本理顕によって設計された横須賀美術館。開館から5年ほどしか経っていないまだ新しい美術館だ。


国吉康雄というと、去年行ったモダン・アート,アメリカン展で『メイン州の家族』を見て以来だ。

国吉は1906年に17歳で金儲けをしようと思いアメリカ(西海岸)へと渡った。日本では特に絵画の勉強をしていたわけではなかった。英語が出来ないので絵を描いてコミュニケーションをしていたら、美術へ進んだらとデザインスクールで学んだ。1910年にニューヨークへ、1916年からアートステューデンツリーグ在学。32歳で初個展で成功する。MOMAの「19人の現代アメリカ画家」展に選ばれる。戦後、ホイットニー美術館で現役画家として初の回顧展を開催。1952年にアメリカ代表の作家の一人としてのヴェネツィア・ビエンナーレに出品。1953年ニューヨークで死去。

今回展示されている物のほとんどは福武コレクションからの物。

最初の部屋では蝶ネクタイに帽子、眼鏡をかけた本人の自画像から始まる。乳搾りでは迫力のある牛が描かれている。そして、したてのほかほかの糞もしっかり描かれていた。

次の部屋へ。

『野性の馬』勢いがあり動きがあって優しい顔をした馬がとても良い。鶏の絵。

『秋のたそがれ』まさにという絵。

妻キャサリンとフランス美術が最盛期のパリへと渡るとそれまでモデルを使っていなかった国吉がモデルを使って人物画を描くようになる。独特の悲しげな女性の絵が並ぶ。

一度、父親の具合が悪くなり日本へ、それが最後の帰国だった。日本で買った張子の虎を絵にした。テーブルの奥行きの空間はうまくはないけど、虎の細かい所の雰囲気はとてもうまく味わい深い。

キャサリンと離婚。3年後、サラ・マゾと再婚。

アメリカ人の妻がいたにもかかわらず、戦争中は敵国だということで強制収容所に入れられそうになるが、友人の画家か画商によって回避された。その頃の作品は色味が非常に暗い。

不安定なテーブルの上に二つに割られた『西瓜』。大きな絵で迫力がある。おいしそうではない。
『逆さのテーブルとマスク』きれいな花瓶が倒れていて不安定なようで安定している。

カメラでばしばし撮った写真が並ぶ。

寂しげな風景画が何点か。

次の部屋はシュルレアリスムの作品が並ぶ。ピエロがたくさん出てくる。晩年のほうになると奇抜な色使いになる。仮面をちょっとあげて不気味な顔を覗かす『ミスターエース』。顔と色使いは忘れられない。

とうとうアメリカ市民権を取れないまま死んでいった。


凄いうまいという感じの絵が多いとは言えないがアメリカ人が魅了された理由がわかる絵に表情があるものばかりだった。
位置的にあまり便利が良いとは言えない美術館なのでもう少し主要な駅とを結ぶシャトルバスがあったらと思った。

topimg_kuniyoshi


2012年4月28日(土)〜7月8日(日)

横須賀美術館
http://www.yokosuka-moa.jp/exhibit/kikaku/948.html

インターネット割引券
※プリントして渡すと当日料金から100円安くなります。

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2012年03月23日

今回はいつもと趣向を変えて、バンドデシネと呼ばれるフランスコミックを紹介。豊崎由美さんイチ押しの不思議な世界をお楽しみください。紹介した作品は、マルク=アントワーヌ・マチュー『3秒』(河出書房新社)と『レヴォリュ美術館の地下』(小学館集英社プロダクション)の2冊です。

toyozaki_yumi







豊崎由美さん(書評家、ライター):



いつもと趣向を変えまして、フランスのマンガ、バンドデシネ。フランス語圏で出ているマンガコミックのことなんですが、マルク=アントワーヌ・マチューさんの2作品をご紹介しようと思います。

まず紹介するのが『3秒』。


マルク=アントワーヌ・マチューのサイレントBD。台詞がない。ご覧になると徐々に男の顔がクローズアップされる。目がどんどん大きくなって構えている携帯電話のカメラレンズが写る。カメラレンズがどんどんアップされるとその男の後ろで銃を構えた人物と鏡が写りこんでいて、鏡がまたクローズアップしていくと、どんどんつないでいくことでわずか3秒の間で起きる膨大な出来事を見せていくんですね。

お話としてはサッカー界で起きている八百長スキャンダル。始めはクローズアップされた男はどうも元スター選手のレナート・ナッチなんですね。彼は法廷で自分が選手だった時代にレフェリーによる疑惑の判定があったと証言をするらしい。ということは最初のほうのコマに写りこんでいる銃を構えた男はレナートの口をふさぐために暗殺しようとしているのかな?、しかし、みたいなね。写りこむ新聞記事、雑誌の見出しとか、飛行機の中、人工衛星が捉えた映像の中から与えられる。

荒川強啓さん:スタジアムが見えてきたりね。

たくさんの情報で読者はフランスサッカー界を揺るがすスキャンダルの全容とか登場人物同士の本当の関係を知って最終的には3秒間で起きる一瞬の出来事の背後にある物凄いドラマを理解して意外な結末に驚くことになるんですよね。どうでしたご覧になって。

荒川:不思議。何にも台詞がないんですよね。絵だけで豊崎さんが説明されたような展開に。見た時にゴルゴ13の絵柄なんだけど、それよりももっと奥が深い。

そうですね。芸術度が高いというか。本を買った人だけの得点でIDとパスワードがわかるんですね。河出書房新社のサイトに行って入れるとコマが全部つながる大変な動画が見られます。まずは絵を見て欲しいんです。マンガなめるように見て虫眼鏡を使って記事を見たりしていたんですが、気持悪くなってきちゃって。世界に引き込まれてしまう。船酔いみたいになって。凄いなと思って。物凄い丁寧に見ないと。デジタル動画見た時も瞳孔が開くみたいな吸い込まれちゃって。ぼーとしちゃうみたいになって。逆回転でも見られて怖いなーと。凄いマンガだと思いますよ。

荒川:一つ一つ丁寧に見ていく楽しみ方もありますね。不思議ですね。この本は。

『3秒』でやっている技術は実は日本だと高野文子さんという有名な方が『棒がいっぽん』という作品の中で同じことをちょっと試みているんですよ。写るもの、写るもの、写るものをつなげていくという。だけど、ここまで徹底した物は世界で初めてだと思うんですよ。そういう意味でもマンガが好きな方だけじゃなくて私みたいな海外文学が好きな人にも読んでいただきたいなと思うんですけどね。見る読むという感じですね。



荒川:もう一冊。

同じ作者の『レヴォリュ美術館の地下』。


ルーヴル美術館がBDプロジェクトをやったんですよ。その第二弾の作品です。小学館集英社プロダクションがルーヴル美術館BDプロジェクトを訳してくれているんですが、本当の名前が今や失われてしまって現在はいろんな名前で呼ばれているある美術館。そこに専門家のウー・ド・ル・ヴォリュームウールというのが弟子と一緒にこの美術家に何が所蔵されているのか明らかにするべく地下に広がっている巨大な倉庫に足を踏み入れる。さっき山田五郎さんにおすすめしたんですが、山田さんみたいに美術大好きな人だったら推薦ですね。よだれが出るような美術物になっています。迷宮館。巨大な美術の迷路です。そこをさまよう快感があって。

荒川:暗くて何もわからないんだけど、わからないなりに引き込まれる。凄い説得力がありますよね。

画力も素晴らしいと思います。実際にある美術品のレプリカも描いていてその技術といい素晴らしいな。日本はマンガという高い文化を誇っていますよね。でも、フランス語圏にも凄い人がいっぱいいる。アメリカンコミックと日本のコミックだけじゃないということでも是非読んでいただきたい。

(2012年03月22日 TBSラジオ「荒川強啓 デイ・キャッチ!」荒川強啓 デイ・キャッチ!から)






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2012年03月17日

場所:横浜美術館

http://www.yaf.or.jp/yma/jiu/2011/matsuifuyuko/

日本画の人気作家の一人。初の個展。

100点あまり展示されている。多くは習作、写生、デッサンの類。緻密に組み立てられているのが見て取れる。どの絵も見ていて奇妙な感じにさせられる作品ばかりだった。よく見るとねずみがたくさん、虫がうじゃうじゃいたりする。

幽霊の絵の1点は学者の山下裕二先生が所有しているものだった。

内臓、解剖をスケッチしたものからいわゆるグロいような内臓が飛び出た絵が続いていく。双頭の蛇が骨、内臓が出ている。女性の子宮、子供を産むという女性の強みを強調していた。ふわっと描かれているに攻撃的な感じがした。パイパンの局部をぐっとこちらに見せ付けてくる絵が印象的でこちらも挑発的だった。

「終極にある異体の散在」は楽園から追われた人々のようだった。段々と西洋の宗教画のように神々しく見えてくるようだった。

恐怖というもので圧倒された。展示された物の多くはガラスに覆われた物、プラスチックで保護された物が多いが、それよりも絵を生身で見ることの出来る作品のほうが力が伝わってくる。

常設展ではフェリーチェ・ベアトの写真があった。19世紀後半の日本、侍、町人を撮って、色付けした物が飾ってあった。珍しい写真ばかりだった。

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