感想(カ行)

2016年04月20日

グランドフィナーレ
YOUTH

2015年イタリア/フランス/スイス/イギリス
2016年04月16日公開
配給:ギャガ
R15+指定
公式サイト
監督: パオロ・ソレンティーノ
製作: ニコラ・ジュリアーノ
   フランチェスカ・シーマ
   カルロッタ・カローリ
製作総指揮: ヴィオラ・プレスティエリ
脚本: パオロ・ソレンティーノ
撮影: ルカ・ビガッツィ
プロダクションデザイン: ルドヴィカ・フェラーリオ
衣装デザイン: カルロ・ポッジョーリ
編集: クリスティアーノ・トラヴァリョーリ
音楽: デヴィッド・ラング
出演: マイケル・ケイン
   ハーヴェイ・カイテル
   レイチェル・ワイズ
   ポール・ダノ
   ジェーン・フォンダ
2015年アカデミー賞歌曲賞ノミネート David Lang “Simple Song #3”(曲/詞)
YOUTH



















おばさんが歌っている。

マイケル・ケインがヴェネチアのサンマルコ広場にいてミスコンの女王らしき女性が歩いてきて潮が満ちてきて溺れる。夢であってベットで目覚める。

英女王の命で使者がマイケル・ケイン演じるフレッド・バリンジャーにコンサートの指揮をしてくれないかと相談している。是非作曲したシンプルソングをと。その曲の指揮は出来ないと断る。

リゾートホテルにガウンを着た人たちが並ぶ。15分ぐらい経ってホテルの中の施設をパンしていってYOUTHというタイトル。

高級リゾートでマッサージを受けたりする。旧友のハーヴェイ・カイテル演じる映画監督と話す。

また、英国から来て指揮を頼まれるが拒む。

この映画を2015年に亡くなったフランチェスコ・ロージに捧げている。

パオロ・ソレンティーノの前作の長編「グレート・ビューティー」でフェリーニにオマージュを捧げていたが、今回もトリビアを見るとそうなっている。マザーテレサのようなお婆さんが何じゃこれはという感じになってたが、今回もタイのお坊さんが空中クンバカ状態になっていて驚いた。
「グレート・ビューティー」「イル・ディーヴォ -魔王と呼ばれた男-」で主演を演じたトニ・セルヴィッロの魅力が全開だった。今回は脚本を当て書きしたということもあってマイケル・ケインでなければ成立しなかったのだろう。演じているというよりもそういう人物にしか見えない。ハーヴェイ・カイテルとの共演で二人が食堂で夫婦の様子を見て賭けているシーンが面白い。
「きっと ここが帰る場所」でデヴィッド・バーン自身の役で登場していた。この作品ではデヴィッド・ラングに「シンプルソング」を作ってもらった。SSを追うショーン・ペンが登場して、ポール・ダノが変身してというナチスネタがまたも繰り返された。ピシャッとビンタするシーンが2度あった。



いきなり、おばちゃんが素っ裸でプールに浮いていたり、林で老夫婦がセックスして喘ぎ声を上げているのをマイケル・ケインとハーヴェイ・カイテルが見ていたり、またその二人が入っている風呂にミスコンモデルがフルヌードで入ってきたりとエロスというよりもどちらかというと大林宣彦作品のヌードのように唐突でぎょっとする。

デブの人が演じたディエゴ・マラドーナらしき人物が変に目立っていたが、公式サイトを見ると監督が彼の試合を見たことで命が救われたということでマラドーナが好きということだった。

マイケル・ケインの娘婿と付き合うことになった自身の役を演じたパロマ・フェイスをブス呼ばわりしてひどいことを言っているが、ちょっとかわいそうにも思った。

ソレンティーノの作品の流れというのがとても合うということもないが、見ていると変な気分になっていく。特に今回は脚本のせいもあるが、ゆったりとしていて睡魔が襲ってきた。



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2014年12月24日

毛皮のヴィーナス
LA VENUS A LA FOURRURE
VENUS IN FUR
2013フランス
2014年12月20日公開
http://kegawa-venus.com/
配給: ショウゲート
監督: ロマン・ポランスキー
原作: レオポルド・フォン・ザッヘル=マゾッホ『毛皮を着たヴィーナス (河出文庫)
原作戯曲: デヴィッド・アイヴス
脚本: デヴィッド・アイヴス
     ロマン・ポランスキー
撮影: パヴェル・エデルマン
音楽: アレクサンドル・デスプラ
出演: エマニュエル・セニエ
    マチュー・アマルリック
VENUS IN FUR






















二人だけの劇中劇を。じっくりと二人の役者の芝居合戦を楽しむことが出来る。劇場に入ってきた嫌な女に対応せざるを得ない演出家。その女は女優でオーディションの相手役を頼むわと言われて付き合っていくうちにマゾッホの本であって、従うだけの演出家。演出家が主導権を持っていったりもする。マゾヒズムの語源となったマゾッホなのでそのことが中心に芝居が進む。鹿島茂先生がサディズムはマゾヒズムを知らないと出来ないと言っているように主従逆転する展開もある。演出家は段々と口紅、履けないハイヒールを履き倒錯していく。女優のほうもタイトルどおりの毛皮を纏い、おかしくなった二人が狂気を帯びたようになる。マチュー・アマルリックが若い時のロマン・ポランスキーのように見えてしまうのは誰もが思うことだろう。ポランスキーの前作の「おとなのけんか」は79分で四人芝居で非常にコンパクトでエキサイティングだった。今回は96分と短いとはいえ、さすがに少しは飽きてしまう場面もあった。



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2014年03月27日

神奈川芸術大学映像学科研究室
2013年(デジタルSKIPステーション)
2014年01月25日
公式サイト
☆☆☆☆
監督: 坂下雄一郎
製作: 佐々木裕
脚本: 坂下雄一郎
撮影: 松井宏樹
美術: 相澤伶美
編集: 田中直毅
音楽: 今村左悶
録音: 稲村健太郎
助監督: 加治屋彰人
出演: 飯田芳
     笠原千尋
     前野朋哉
     宮川不二夫
     高須和彦
     中村有
     嶺豪一
     中本章太
     細井学
     早乙女バッハ
     生実慧
     島野千尋
     矢島康美
     田口治
kanagawa






















東京芸術大学大学院映像研究科第7期修了制作

日本における在籍している大学生が280万人、講師を含めた教員17万人。

神奈川芸術大学
映像学科研究室

ノンフィクションである

少し涙目でああとうなだれているような男(奥田)。女性と男性が入ってくる。ちゃんこ鍋が教授たちに評判が悪かったです。座敷のほうがいい。イタリアンはないな。中華のところは教授が出入り禁止です。じゃあ、大手でいいんじゃないか。

吸殻入れ、たばこ、携帯電話、今、映画の何をやっているのか、助手だよ。つまらない。撮影で争うシーンが、学生映画ってどれもこんな感じだよな。溜まってんのか。

ロケで学生が血糊で汚して汚したままにしたことで文句を言われ学生と一緒に血糊を落としに行った。

同僚の女性が借りていた機材の返却が遅れていた学生にペナルティで貸し出し禁止と言う。
別のシーンで学内の映画鑑賞会を行う打ち合わせに学生がほとんど集まらない。
同僚の女性が残業をすると言うが、奥田は働き過ぎだと言って帰ろうとするが、スタジオと道具の部屋の鍵が返されていないことに気付く。スタジオに行ってみると撮影機材を運んでいる学生3人に遭遇、彼らが慌てて機材を壊してしまう。学科長や教授を呼び出したが、窃盗のことは公にしないで学科内で事を収めるようにと言われる。


大学の助手のような立場なので教授からはああだこうだ言われ、大学の事務のほうからは言われ、学生からは頼られるでもなく疎まれるような立場になってしまいと見ているほうもこの立場から去りたいような思いに駆られる。一生懸命やったってここにいる連中(教授も学生も)は馬鹿だ、クズだと言い放つ。残業代は出ない。雰囲気が悪くなるから事を荒立てずに空気を乱すなという世相も反映しているところがすっと作品に入っていける。一番のポイントは嫌な仕事は他人に押し付け、誰も責任は取らないというところに焦点を置いているところ。それをがんがん突き上げておきながら、お前もまたそっちに放り投げるかというのが笑ってしまうほどの人間の馬鹿らしさを生み出していた。もみ合って殴り合うような映画を作って溜まってんのかというお前が一番溜まっているだろうというつっこみたくもなる。内部告発物みたいな見方も出来て、その点でもどうなるのだろうと気になる展開だった。

そして、最後に爆発してわっとなる。美しいとまではいかないが、金もかかっていないが、ばら撒かれた紙とのう一瞬が花火のようだった。何だったのかと思えるまでの清清しさ。今まで井の中だったものが宇宙までと開放されていってしまった。後で考えるとどうでも良かったと思えることがある。そのくらいのことしか責任を負わないという、最後の一押しのブラックな笑いだったとも思える。

同僚の前野朋哉さんが演じた役はぶつぶつ小言を言うのが特徴でやる気がない学生、一番簡単な仕事は何ですかと質問するくらいの学生。それに対してここの時間の流れは重大なこととされていることが裏で起こっているにもかかわらず、最後にはおめでたい人物として描かれていて進んでいく。奥田君、そんなことよりもさ、映画鑑賞会のアンケートがこんなに集まってという何だったんだよ俺はというぽかんとしてしまうための役割として必要だった。一番弱い立場の学生が半笑いで答えてしまう。こんなだったかも自分もと思ってしまった。奥田を演じた俳優は地味で顎がしゃくれたようでいてもやもやとした思いを抱えているようでいてぴったりだった。

映画を撮ることを扱っていて、映画は地道で地味なことの積み重ね。映像学科長のおっさんが学生を怒鳴り散らす。学生がヤクザだよあれはと。ある意味、正解のところもあるかもしれない。

監督は黒沢清に師事したということもあってか、冒頭の顔を映したショットから何か嫌なことが起こるのだろうということを予感させていたように思えた。学生の一人が編集室からというところで救急車の音、ズドンと落ち、その様子を撮っていた映像がモニターでリピートで流される。
怒りを抑える、同僚が怒ろうとしているのを収める。学生をかばおうとするが、学生に殴られる。さすがに切れる。何度も汚れ役を受けて受け流してきたのに本当のことを言ったら、またそこでひっくり返される。振りが利いているのでちゃんと回収できているのが面白く感じた。



(電話)映画の出資が決まって、お前どうする。

学生が赤く汚れた壁を持っている。

いや、ちょっとその話は。

終わりなき日常。

また、やってくれましたよ!!というような声が聞こえてきそうだ。

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2013年10月09日

クロニクル
CHRONICLE

2012年アメリカ
9月27日(金)公開
配給:FOX
PG12指定
84分
http://www.foxmovies.jp/chronicle/
劇場情報
☆☆☆☆4
監督: ジョシュ・トランク
製作: ジョン・デイヴィス
    アダム・シュローダー
製作総指揮: ジェームズ・ドッドソン
原案: マックス・ランディス
    ジョシュ・トランク
脚本: マックス・ランディス
撮影: マシュー・ジェンセン
編集: エリオット・グリーンバーグ
音楽監修: アンドレア・フォン・フォースター
出演: デイン・デハーン
    アレックス・ラッセル
    マイケル・B・ジョーダン
    マイケル・ケリー
    アシュリー・ヒンショウ
chronicle






















高校生(アンドリュー)がビデオカメラで日常を撮っている。父親が怒鳴ってくる。殴る。母親は重病で寝ている。高校に行けば、暴力的な同級生がビデオを撮っているのを馬鹿にしビデオを床に落とす。校庭でビデオを回していると、チアをやっている女子生徒からキモいんだけどと言われる。パーティーでもビデオを撮っていて、馴染めない。いとこの同級生のマットに心配される。高校に入ってから人生が全く駄目だということを話す。マットとマットの親友のスティーブと森の中の地面に空いた穴に何かあると誘われる。そこで衝撃を受ける。放射線なのか何何かはわからない。超能力を持ってしまった3人はボールを投げ合い、凄い力を知る。レゴブロックを手を使わずに浮かせて組み立てたりした。

最初はやはり女子生徒に対して風を起こしてスカートを浮き上がらせて黒だと言って喜ぶ。ティーンの超能力物での典型だ。スーパーに行ってカートが動いて行ってしまう、ぬいぐるみが浮いて幼児を怖がらす、ガムが飛び出してくる。駐車場の車を動かす等のいたずらが男子高校生だったらこのくらいのアイデアだろうというところがある。アンドリューが後ろから来るクラクションをうるさく鳴らす車をガードレールを超えて沼へと落としてしまう。この辺から後から考えると最後への片鱗が見え始める。

スティーブが浮遊できるようになってアンドリュー、そして3人ともが高速で飛ぶことが出来るようになった。その楽しさ、爽快感の描写が素晴らしくて画面から楽しさがあふれ出ていてこれを大きなスクリーンで見るだけでも見た甲斐がある。

家にはお金がなく、威張り散らす父に対する嫌悪感、学校では肩身が狭いのを爆発させていく。キャリーだと誰でも思うだろう。アンドリューを気遣ったスティーブの葬式。ジギースターダストが流れ、床を歩いている蜘蛛を浮かして足を全て引っ張り全ての部位をばらんばらんにする。

母の薬を買う金もないためにマスクをして町でたむろするちょっとした不良たちを襲う。しかし、ちょっとしか金を持っていない。そりゃそうだろう。超能力があるならもっと金をあるところを襲うだろうと思うが、そのスケールの小ささもまたかわいらしい。

段々怒り爆発超能力発揮でシアトルの街がとんでもない参事になる。アンドリューが神のような存在になる。ここも誰もが思うAKIRAの展開だ。最後にクロニクルというタイトルが出る。

84分で3人のキャラクターをうまく表現してとてもわかりやすかった。
低予算ながらこのスケールを生み出したのはCGによる物が大きい。FXアーティストで3人ぐらい日本人が参加していた。手持ちカメラでのアングルも良かった。アンドリューを演じたデイン・デハーンがちょっと髪が薄くて内向的なキャラクターにぴったりだった。「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」でも主人公の息子を演じていて、「欲望のバージニア」 でも主人公の足に障害のある友人を好演していた。今一番の注目の俳優だろう。


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2013年07月05日

風立ちぬ
2013年東宝
07月20日公開
公式サイト:http://www.kazetachinu.jp/
劇場情報:http://gekijyo.toho-movie.com/theater.php?no=188
☆☆☆☆4
監督: 宮崎駿
プロデューサー: 鈴木敏夫
原作: 宮崎駿
脚本: 宮崎駿
作画監督: 高坂希太郎
動画検査: 舘野仁美
美術監督: 武重洋二
色彩設計: 保田道世
撮影監督: 奥井敦
編集: 瀬山武司
音楽: 久石譲 「風立ちぬ サウンドトラック[共通特典CD付き]風立ちぬ サウンドトラック - 久石 譲
音響演出: 笠松広司
主題歌: 荒井由実 『ひこうき雲Hiko-Ki Gumo - Single - 荒井由実
声の出演: 庵野秀明
       瀧本美織
       西島秀俊
       西村雅彦
       スティーブン・アルパート
       風間杜夫
       竹下景子
       志田未来
       國村隼
       大竹しのぶ
       野村萬斎
kazetachinu























少年が木の飛行機のレバーをしゅぽしゅぽやって堀辰夫と堀越二郎に敬意を込めてという一文で終わる予告編が流れてから、6月中旬ぐらいに「華麗なるギャツビー」を見に行った時にちょうど予告編、4分間あるよというのを見て本編の映画よりもそちらに引き込まれてしまった。庵野秀明の木訥とした堀辰夫の朗読が流れ、荒井由実時代の歌が流れ、帽子が風に乗って飛ばされ、赤い絵の具がキャンバスに飛び散り、震災の不況の時代に若者はどう生きていたのか、壊れた戦闘機が置かれて、それを凝視する男、生きねば、終わり。何度となく映画の予告編で流れ、歌に寄せられ感情が高ぶった。もうこの予告編で十分なのではというくらい完成度が高かった。

ほぼ満席の中で予告編で同じジブリの高畑勲監督の「かぐや姫」が掛かる。

ビスタサイズなのでやはりというか横の幕の調整がされないままだった。細かいところの経費はケチるのだなと思った。

ポール・ヴァレリーの詩の一節Le vent se leve, il faut tenter de vivre。風立ちぬ。

子供の堀越二郎は小型の飛行機に乗り空を駆け巡る。そこに飛行機が現れる。浮遊感の描き方は素晴らしい。イタリア人のカプローニが話しかける。それは夢だった。カプローニの声が野村萬斎だと丸わかりだった。

二郎は屋根に上り夜空を眺める。妹もそばにいた。目が悪くて星が見えなかった。

眼鏡を掛け、大学生になった二郎。汽車に乗り東大に行く。被っていた帽子が風に乗せられていく、少女(菜穂子)がキャッチ。礼を言う。若者なのに庵野秀明の声になっていて、あまりに老けているので驚く。汽車が揺れる、家々が立ち上がるように揺さぶられていく。火の粉が舞う町。少女と少女の手伝いの女性に二郎は声を掛ける。女性は骨折していて二郎がおぶって上野の山まで連れて行き待ってて下さいと言う。人の声のような地鳴りが響く。本郷では書物を運び出していたが、火の粉が舞い書物に襲い掛かってきそうだった。

二郎は名古屋の航空機の会社に就職する。どこも不況だなと迎えに来た同僚は言う。ドイツに航空機の勉強に出掛ける。機械の描写が細かい。

一番活き活きとしているキャラクターなのは上司の黒川。真ん中で分けられた髪がふさふさと揺れ、二郎が漕いでいる自転車の後ろをひょいっと乗る。あまり動きのない登場人物の中で目立っていた。

夜遅くに会社から帰った二郎は菓子屋でシベリアを二切れ買う。道に弟を連れた女の子がいる。菓子屋の店主は母親は仕事で帰りが遅く待っているんですよと言う。二郎は気を利かせシベリアを食べなさいと言うが、女の子はいらないと拒んだ。宿舎に帰った二郎は二郎の同僚にシベリアかと食べる。二郎の御恵みはいらないという女の子の誇りというものを感じた。我慢するということにおける主張があって一番印象に残ったシーンだった。

シベリア関連では宮崎作品では料理のシーンが登場し、それがおいしそうだというのがとても印象に残るが、今回は料理の描写が少なかった。大学の時の食堂での鯖の味噌煮のとろっとした感じ、そこから箸でつまんだ鯖の骨、その曲線が美しいと話す主人公。あと、軽井沢でのドイツ人が皿にこんもり盛られたクレソンをおいしそうにぱくついている。そのぐらいだった。

震災時に助けた少女(菜穂子)に礼を言われる。紙飛行機が宙に舞う。何度も何度も。その後、交際する。キスシーンが何度も登場する。

結核の菜穂子は療養所の外のベッドで寝かされている。雪がはらはらと降っている。

零戦が空に、零戦は早いが紙のように燃え散って行ってしまう。

最後の荒井由美の「ひこうき雲」が流れ作品全体を包み込んでいった。やはりこの歌の力が大きかった。

科学技術の利用のされ方に核のエネルギーのことが重なるようだった。鈴木プロデューサーが言う宮崎の飛行機への憧れ、それは戦闘機であっても、だが、それを描くには戦争というものも描かなければならない矛盾、これにどう応えるか、そこは戦争は直接的に描かず軍に追われる恐怖でにおわせた。大正の震災、不況、戦争が今における不況、震災、原子力発電所の爆発にまた通じる。時代を反映した映画になった。宮崎駿が得意とする風の表現、飛行機の造形が見られて良いのだが、面白いかと言われればそこまでではなかった。





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2010年05月28日

川の底からこんにちは
2009年ユーロスペース=ぴあ
05月01日公開
http://kawasoko.com/
上映劇場
☆☆☆★3.5
監督:石井裕也「剥き出しにっぽん
脚本:石井裕也
撮影:沖村志宏
音楽:今村左悶
   野村知秋
出演:満島ひかり「愛のむきだし
   遠藤雅
   相原綺羅
   志賀廣太郎
   岩松了
kawanosoko














子供たちが遊んでいる。子供たちに試作品のおもちゃを渡して遊ばせている。それを見ている上司にOL佐和子がお茶を出し、子供が小便を漏らしたじゅうたんを拭く。
OL仲間が給湯室で愚痴を言う。しょうがないという口癖で返す。佐和子は上司の付き合っている。しかも子連れ。

この映画は女性が強く、男が添え物で存在が希薄であった。日本社会がそんなものだというのを表しているのかも。

主人公も派遣で、長い不況によってそこから伸び上がれない諦観な感じが映画全体にあふれている。どうせみんな中の下だからという言葉もよく登場する。「国道20号線」「SRサイタマノラッパー」では地方でもがいて絶望する話だったが、この映画では主人公の田舎の高校の時の同級生の女が東京も同じで絶望する。東京だから地方だからとの差はない現在の行き止まり感が現れていた。同じく東京のほうから出てきた女子大生が働く漁師を見て一生懸命働いている姿は滑稽でいいですと語る。それも行き止まり感を出しているものだと思った。
全体を通して笑いにあふれている。それはもう笑うしかこの世の中ないんじゃないくらいのことと受け取られてしまった。笑いと虚しさが共存したすばらしいものだ。ひとつひとつのギャグがべただけど、くすっと笑わせるものである。

主人公のおじさん役の岩松了がこんなおっさんいるなと思わせる随時笑わせるコメディアンとしてうまかった。最高だった。おばさんのキャラクターもいいし、おばさんたちが素っ気無く着替えるシーンもあるなと思った。もちろん主人公の満島ひかりもすっとぼけていたり、切れたりと良い演技だった。ただ、切れて怒る演技が「愛のむきだし」のと変わらずワンパターンだったようにも思えた。

人の糞尿を撒くエコはくそであって、エコ=きれい、おしゃれを否定しているという表現には共感。エコブームとかクソ食らえっつうの。続きを読む

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2009年10月01日

空気人形
2009年テレビマンユニオン、衛星劇場、アスミックエースほか
09月26日公開
アスミック・エース配給
http://kuuki-ningyo.com/
上映劇場:http://kuuki-ningyo.com/news/theater.html
R15+
☆☆☆★3.5
監督:是枝裕和歩いても 歩いても」「大丈夫であるように ─Cocco 終らない旅─」「ワンダフルライフ」「DISTANCE(ディスタンス)
プロデューサー:浦谷年良
        是枝裕和
原作:業田良家『空気人形』(小学館刊『ゴーダ哲学堂』所収)『自虐の詩 (上)
脚本:是枝裕和
撮影:リー・ピンビン
編集:是枝裕和
音楽:world's end girlfriend「空気人形 O.S.T.
音楽プロデューサー: 佐々木次彦
出演:ペ・ドゥナ「リンダリンダリンダ [DVD]
   ARATA「DISTANCE(ディスタンス)
   板尾創路
   高橋昌也
   余貴美子
   岩松了
   柄本佑
   寺島進
   オダギリジョー
   富司純子
第62回カンヌ国際映画祭のある視点部門上映。
kuhkiningyo


















板尾創路演じる男が電車に乗っている。雨が降る中、スーパーに買い物、家に帰るとのぞみと人形に話かける。人形とセックスをする。その後、オナホールを風呂場で洗う男。翌朝、スーツに着替えて行って来るねと話しかけ出かける。裸の人形はふわっと立ち上がり、ベランダに出て手を外にかざす。雨水に触れると人形が人にように変わっていく。心を持ってしまいましたと。
部屋にあったメイド服を着て外出する。親子連れに挨拶する。ごみ出しを見る。未亡人の老女を追いかけて挨拶する。そうするうちにレンタルビデオ店に着く。そのうちレンタルビデオ店でバイトをするようになる。

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2008年08月08日

コレラの時代の愛
LOVE IN THE TIME OF CHOLERA

2007年アメリカ
08月09日公開
137分
ギャガ配給
http://kore-ai.gyao.jp/
PG-12指定
☆★1.8
監督:マイク・ニューウェル「狂っちゃいないぜ」「フェイク」「フォー・ウェディング」
原作:ガブリエル・ガルシア=マルケスコレラの時代の愛
脚本:ロナルド・ハーウッド潜水服は蝶の夢を見る 特別版【初回限定生産】
音楽:アントニオ・ピント
出演:ハビエル・バルデムノーカントリー スペシャル・コレクターズ・エディション
   ジョヴァンナ・メッツォジョルノ
   ベンジャミン・ブラット
   カタリーナ・サンディノ・モレノ
   ウナクス・ウガルデ
   ジョン・レグイザモ
LOVE IN THE TIME OF CHOLERA














木に登ろうとした老いた主人が転落する。家政婦が駆け寄るが息絶えてしまう。画面が変わって、老いたフロレンティーノは若い女性と寝ている。教会の鐘が鳴り、有名人が死んだんだと気付いて彼は教会に行く。参列者が故人は立派な人だと言い、コレラを撃退した功績を称える。フロレンティーノも駆けつけて、故人の夫人に「51年9ヶ月と4日待ち続け、この時を待っていた。」と告げる。夫人は激怒する。

50数年前に戻る。舞台はコロンビア。時は内戦が激しく、コレラが蔓延している。貧しい郵便局員のフロレンティーノは金持ちの商人の娘フェルミーナに一目惚れをする。恋文を送り続けてフェルミーナは彼の気持ちに応える。しかし、フェルミーナの父親は貧しい家の奴に娘は出せないと反対し、一家は引っ越してしまう。その後いろいろあって、医者の男とフェルミーナは恋仲になる。

ノーベル文学賞を受賞したガルシア・マルケス。彼の小説を映画化したもの。監督はコメディも得意なマイク・ニューウェル。もうかなり年になるので仕方がないかもしれない。でも、137分の作品を描くには力量不足の感がある。まず、話が進むテンポが悪い。眠くなる。そして、笑わせようとシーン、ユーモアもとても古くさい。コロンビアで主演俳優がスペイン人なのに全編英語というのも疑問が残る。フェルミーナがフロレンティーノを諦める感情の動きがよくわからず、ほとんど語られない。これは物語の流れを破綻させている。2時間以上あるならもっと描けたはずだ。
フロレンティーノが彼女を忘れようとしてほかの女性と関係を結んでいくという流れも何だか下品に見えてしまう。女性と関係を持つ度に日記に付けていく。ジェームス三木の「春の歩み」を思わせるシーンだった。とにかく、おっぱいが出て来る映画だった。コロンビアはそんなに性に大らかなのか。これはおとぎ話のような作品なのでどうでもいいけれども。
主人公を演じるハビエル・バルデムは「ノーカントリー」の時と全く逆でコミカルな演技を見せる。しかし、若い時を演じる演技がどうも目がぎろぎろして気持ちが悪い。フェルミーナを演じる女優は老けた時のメイクが全く老けて見えない。年相応の女優を使ったほうが良かったと思う。久しぶりに見たが、かつてジュリア・ロバーツと付き合っていたベンジャミン・ブラットが医者を演じていた。

「コレラの時代の愛」というタイトルが一番インパクトがある映画だった。



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