2013年03月18日

ふたりのキャパ

the_falling_soldier

ロバート・キャパ
「共和国軍兵士、コルドバ戦線、スペイン」
1936年9月初旬 横浜美術館蔵

NHKで沢木耕太郎がキャパが撮った崩れ落ちる兵士は本当にキャパが撮ったもので兵士が撃たれて命を落としたのかを検証する番組を2月に放送した。この写真に関してはネガもなく、オリジナルプリントもなく、キャパ自身が撮ったものかは疑わしく、また戦場ではなく訓練で兵士は滑ってしまっただけなのではということが推測された。この説を取ると非常にしょぼい真相になってしまうが、この写真はナチスに立ち向かう象徴としてもてはやされ、同時にキャパの報道写真家としての名を広めることになった。本質がどうだったかというよりも写真が独り歩きしてしまったことが非常に面白い。

実際に写真を見ても死に行く瞬間にしては緊迫感が欠けているようにも見えた。

そもそもロバート・キャパというのはアンドレ・フリードマンと恋人でもあったゲルダ・タロー(本名ゲルタ・ポホリレ)の二人によって創り出された架空の写真家であった。タローは岡本太郎から取った。ゲルダはスペイン内戦の取材中に暴走した戦車によって死亡した。26歳だった。

この展示では最初のほうのゲルダ・タローの作品が多く見られるのが利点である。彼女のほうがどんどんと突き進んでいった。死後、キャパは死を恐れないかのように戦場に入って撮るようになる。戦場の写真以外にも日本に来た時の写真も展示されていた。それは観光写真と大差なかった。仲が良かったヘミングウェイ、恋仲でもあったイングリッド・ バーグマンのポートレイトもあった。


1944

上記の写真は第二次大戦が終わり、ナチスに加担してしまった女性は坊主にさせられ周りの人々が見ている。人々の中には彼女を見て笑っていたりもする。森達也さんは戦前と戦後で立場が変わり、人間の暴力性みたいな物が浮き上がった写真ではないかと言っていたように記憶している。



ドキュメンタリー作家の森達也さん:

キャパの決意表明ですよね。本来、中立、客観、公正というドグマを大事にするのであれば、戦場で写真を撮る時にどうすればいいのか。敵と味方の間のポジションから撮るのが中立ですよね。出来るはずないですよね。そんなことをしたら、あっという間に死んじゃいます。つまり、写真を撮るということはどっちかに加担するということなんです。ドキュメンタリーも一緒なんですけれども。いわゆる、エンベントですね。言い換えれば、感情移入です。ということはそこに中立だの客観だの公正性というのはかけらもないんですよ。あるのは自分の思いであり、主張であり、主観であり、それを出さなければいけない。僕はキャパがそう言っているんだと解釈しています。

二人が映りこんでいる写真があるんですね。ゲルダはさっそうと胸を張って歩いていて、キャパはちょっと遅れて後から付き従っている感じの写真なんです。二人の関係性をシンボライズしている感じがして私は好きなんです。ゲルダは前にいるんです。キャパはその後ろ姿を見てきたんです。キャパはこのフレーズを使ったのはゲルダ亡き後ですよね。半歩前に行けと。自分に対しても言ったんじゃないかと思います。

(2013年3月3日放送「日曜美術館」より抜粋)


横浜美術館なので常設展も見られる。シュールレアリズムの部屋はいつ見ても絵に惹きつけられる。


ロバート・キャパ/ゲルダ・タロー 二人の写真家
場所:横浜美術館
2013年1月26日(土曜)から3月24日(日曜)まで
休館日木曜日(ただし1月31日は開館)
開館時間10時00分から18時00分まで(入館は17時30分まで)
一般 1,100(1,000)円/大・高校生 700(600)円/中学生 400(300)円/
小学生以下 無料

http://www.yaf.or.jp/yma/jiu/2012/capataro/index.html



ten_years_after at 23:00コメント(0)トラックバック(0) 
美術など 

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