2012年09月07日

イリヤ・レーピン

yamada





山田五郎さん:



近代ロシア絵画の巨匠を紹介します。

ロシアのアートというと、20世紀に入ってからのロシアン・アバンギャルドとかが有名ですが、19世紀帝政ロシアの時代の画家というとあまりピンとこないかもしれない。だけれども、音楽のチャイコフスキー、文学のレフ・トルストイに相当するとあのチェーホフが言った画家がいるんです。それがイリヤ・レーピンという画家です。


evening-party


これがレーピンが描いた『夕べの宴』(1881)

レーピンは現在のウクライナ出身です。これはウクライナの農民の日常を描いた作品です。コサックダンスを踊っています。コサックはウクライナの半農半武人の共同体のことなんですが、まさにウクライナの伝統的な農民のささやかな宴ですよね。表情が凄い豊かですよね。貧しくても豊かに生きる人々を描いているんですが、何度も言っていますが、西洋美術の王道というと、歴史画や宗教画なんですよね。普通の暮らしの普通の農民をわざわざ描くんじゃないよと言われた時代にレーピンはあえて民衆の暮らしをリアルに描いた。きっとレーピンは若い頃にイタリアとパリに留学しているんですよ。パリに留学している時に例の記念すべき第一回印象派展を見ているんですね。当時のパリのありのままのリアルな現実を描いていくという運動にも感化されて自分たちの農民のありのままの姿を描こうとしたんだと思います。

Self_portrait


『自画像』(1887年)

いかにも19世紀的なロマンチックな感じのする人なんですが、線が細そうに見えますが作品は非常に骨太で。

レーピンが生きた19世紀後半のロシアは近代化に立ち遅れていて封建的なものが残っている国だった。国民の80パーセントぐらいが農奴と呼ばれる奴隷同然の土地を設けない農民たちで彼らの犠牲の上に残りの20パーセントの富裕層、特に貴族たちが華やかな文化を謳歌していた時代。そんな時代なんですが、レーピンは貴族文化を描くのではなくて、リアリズムの旗手として民衆の生活を描いたわけですね。

Barge Haulers on the Volga


『浅瀬を渡る船曳き』(1872年)

『ヴォルガの船曳き』の下絵ですが、ご覧の通り牛や馬の代わりに人間が船を曳いている貧しい労働者たちの日常をリアルに描いた作品なんですね。完成した『ヴォルガの船曳き』は美術アカデミーの副総裁だった貴族、大公の注文で描いた美術アカデミーに展示された作品なんですね。でも、レーピンはそんな注文の中でも民衆のリアルな暮らしを描いていったんですよね。

こういう人なので後のロシア革命にも関心を持っていて、

gathering


『集会』(1883年)

都市の人々の暮らしですね。インテリの青年が都市の民衆を集めて我々はこのままでいけないんじゃないかと啓蒙活動をしている絵です。革命前夜の緊張感ある感じがひしひしと伝わってくるような作品です。

レーピンはロシア革命が起きた後、革命以前から民衆を描いていた労働絵画の英雄として持ち上げられてしまう。だけれども、レーピン自身は革命というのはきれいごとばかりではなくて、たくさんの血が流れたわけですよね。流血の革命を嫌って、表に出てこなくなった。レーピンが住んでいた村はフィンランド領になってしまう。ソビエト政権を取ったレーニンやなんかがレーピンは英雄だから帰ってきて下さいと手紙を出したり、使者を出したりしたんだけれども、私はソ連に帰る気はないと言ってずっとそこで過ごした人なんですよね。ちなみにレーピンが住んでいた村はサンクトペテルブルクの北のほうですが、後にまたソ連領になって現在はサンクトペテルブルクとその周辺の歴史的建造物は世界遺産に指定されています。レーピンの住んでいた家も今レーピン美術館となって歴史的建造物の一つとして世界遺産になっています。

今、Bunkamuraのザ・ミュージアムで日本では過去最大のレーピン展が10月8日まで公開されています。

(2012年09月06日)


http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/12_repin/index.html

レーピン展



巡回

浜松市美術館 2012年10月16日(火)〜12月24日(月・祝)
姫路市立美術館 2013年2月16日(土)〜3月30日(土)
神奈川県立近代美術館 葉山 2013年4月6日(土)〜5月26日(日)[予定]





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美術など 

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