2011年07月03日

五百羅漢展

相当前に行ってこんな大きな箱物はいらんだろうと思った大江戸博物館。ネーミングも建物もどうなのかと今回も感じてしまった。ちょっと離れたところに今話題の日本自体は傾きそうではある中でのバベルの塔のような感じでそびえたったタワーがどかんと存在していた。地震国に原発と超構想建造物はいらない。

そんなことはどうでもいい。
諦めかけていたが、五百羅漢展に何とか滑り込んだ。ぶらぶら美術館で紹介していて頭に残っていたので久しぶりに美術作品に触れた。芝の増上寺に収められた狩野一信による五百羅漢図100幅が公開されていた。東京大空襲でも絵は燃えることなく全て残っていたが、一挙に公開されることはほとんどなかったとのこと。

まず入っていって顔の大きな表情豊かな羅漢たちに驚かされる。着ている物の書き込み、背景、特に迫ってくるような波の表現が素晴らしかった。人物像は全員がうまいと言うようなうまさではなく味わい深い、人間くさいものだった。実際の素描のようなものがあったが、ちょっと絵が上手い小学生という感じがしないでもなかった。徐々に描き込みがエスカレートしていくのも面白い。羅漢の顔を剥いだら不動明王でした、菩薩でした、オーラが出てビームが出てふきだしも出ていたりとマンガ的であった。西洋画の影響を受けたとされる絵が妙な遠近感があり、必要以上に影を描いていたり、木々がいりくんでいて気持ち悪かったりした。平面の技法からの立体の試みというのが明らかであって好きな絵だった。人物描写の感じとそんなに力を入れないでもいい描き込みは青木雄二のようでもあった。



羅漢さんは風呂に入り、剃髪も手伝い、病気も治そうとし、大工もする。

地獄の場面ではやはり描き込みの細かさ、厳しい感じとがともにあった。その中で一番の人気なのか人だかりで心に残った乳が垂れて鼻水とよだれがだらんと伸びた首吊り死体がとてもリアルだった。よどんだ目と骨ばった足、実際見てスケッチしたとしか思えない。

90幅ぐらいから安政の大地震に遭って地震、台風被害で風など天変地異を描く頃から背景が黒一色となる。あれだけ埋め尽くされた背景がと思う。段々羅漢は小さくなる。一信は病で弱っていく。残り4幅を残して47歳で死ぬ。4幅は妻と弟子で完成させた。一信との技術の差は歴然として誰にでもわかる。下手すぎる。しかし、ここまで10年かけて描いてきた一信の人生と絵を重ね合わせると感慨深い。盛り上がってきたところ、意欲と体力を見渡せる展覧会は格別なものがあった。

監修の山下裕二教授の解説書きが端的で非常にわかりやすかった。羅漢たちが議論している絵では身を乗り出したりしていてさながら朝まで生テレビのようだったというこのような展覧会ではあまり見ない記述があった。





ten_years_after at 23:30コメント(0)トラックバック(0) 
美術など 

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