2010年05月28日

川の底からこんにちは(感想)

川の底からこんにちは
2009年ユーロスペース=ぴあ
05月01日公開
http://kawasoko.com/
上映劇場
☆☆☆★3.5
監督:石井裕也「剥き出しにっぽん
脚本:石井裕也
撮影:沖村志宏
音楽:今村左悶
   野村知秋
出演:満島ひかり「愛のむきだし
   遠藤雅
   相原綺羅
   志賀廣太郎
   岩松了
kawanosoko














子供たちが遊んでいる。子供たちに試作品のおもちゃを渡して遊ばせている。それを見ている上司にOL佐和子がお茶を出し、子供が小便を漏らしたじゅうたんを拭く。
OL仲間が給湯室で愚痴を言う。しょうがないという口癖で返す。佐和子は上司の付き合っている。しかも子連れ。

この映画は女性が強く、男が添え物で存在が希薄であった。日本社会がそんなものだというのを表しているのかも。

主人公も派遣で、長い不況によってそこから伸び上がれない諦観な感じが映画全体にあふれている。どうせみんな中の下だからという言葉もよく登場する。「国道20号線」「SRサイタマノラッパー」では地方でもがいて絶望する話だったが、この映画では主人公の田舎の高校の時の同級生の女が東京も同じで絶望する。東京だから地方だからとの差はない現在の行き止まり感が現れていた。同じく東京のほうから出てきた女子大生が働く漁師を見て一生懸命働いている姿は滑稽でいいですと語る。それも行き止まり感を出しているものだと思った。
全体を通して笑いにあふれている。それはもう笑うしかこの世の中ないんじゃないくらいのことと受け取られてしまった。笑いと虚しさが共存したすばらしいものだ。ひとつひとつのギャグがべただけど、くすっと笑わせるものである。

主人公のおじさん役の岩松了がこんなおっさんいるなと思わせる随時笑わせるコメディアンとしてうまかった。最高だった。おばさんのキャラクターもいいし、おばさんたちが素っ気無く着替えるシーンもあるなと思った。もちろん主人公の満島ひかりもすっとぼけていたり、切れたりと良い演技だった。ただ、切れて怒る演技が「愛のむきだし」のと変わらずワンパターンだったようにも思えた。

人の糞尿を撒くエコはくそであって、エコ=きれい、おしゃれを否定しているという表現には共感。エコブームとかクソ食らえっつうの。

自分を卑下したキャラはキャラであって、そこまで絶望感を表したものではないということに気付いた。引っかかってしまった。

駆け落ちっていうのがそんなに引きずるのかとか、父親との確執みたいなものが解けたり、会社の経営があんなにすんなりとちょっと思ったけど、そんなのはどうでもいいか。

見終わってしじみ汁を飲んだ。

川の底からこんにちは。

ten_years_after at 06:00コメント(0)トラックバック(0) 
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