2007年04月15日
宇多丸のブラボーシネマ「ブラックブック」
ブラックブック ZWARTBOEK BLACK BOOK
2006年オランダ、ドイツ、イギリス、ベルギー
3月24日公開
公式サイト
監督:ポール・ヴァーホーヴェン
原案、脚本:ジェラルド・ソエトマン
音楽:アン・ダッドリー「Black Book [Music from the Music Picture]
」
出演:カリス・ファン・ハウテン
トム・ホフマン
セバスチャン・コッホ
デレク・デ・リント


RHYMESTER
の宇多丸さん:
監督のバーホーヴェンのファンだと。バーホーヴェンで一番有名なのは、「氷の微笑
」「ロボコップ
」、「ショーガール
」ラジー賞、とん「スターシップ・トゥルーパーズ
」とんでもない映画を撮る人と言われているんですが、ハリウッド時代の作品で実はオランダの監督で、オランダで名作を撮っていてハリウッドに移ったんですが、この度23年ぶりにハリウッドを離れて、何作か興行的にこけてある意味ハリウッドで撮れなくなったのもあり、故国オランダに帰って撮ったのが「ブラックブック」なんですが、これがあんたハリウッドから離れたほうが正解ですよ。非常に大人のエンターテイメント。
複雑な話。主人公ラヘルを演じるのはオランダの「カリス・ファン・ハウテン」この映画でオランダ映画祭主演女優賞に。これで3度目の受賞。脱ぎっぷりが良い。ボーンとおっぱい出しますよ。バーホーヴェンはおっぱい大好きなんで、おっぱいだけではなくて、ユダヤ人を隠すために髪の毛を染めている。ナチスの将校に近づいて床を共にする。髪だけでは脱いだらばれるので下も染めなければいけない。そこもきっちりやります。ディティールだけではなく、素晴らしい映画です。
有名人の感想
小堺一機さん:人間に絶望した時にふと見える光とは何かそのこてを探そう。
おすぎさん:ナチスドイツが悪者と描く映画があってもレジスタンスの中に裏切り者がいたなんて初めて知った。戦争サスペンスを見事なエンターテイメントにしたポールに拍手。
ポールという馴れ馴れしさがインタビューをしたちかさを感じますね。あと、ストーリーのネタばれが入っています。人間に絶望が主眼です。世の中どっちが悪者、善い物ではないんですよ。ろくなもんじゃねえという人間観。
「トータル・リコール
」も意地悪な映画でひねってあるんですよ。いわゆるハリウッド的なめでたしめでたしなエンディングに見せかけて。大半の観客は気付かないように作ってあるんですが、実は凄くそうじゃない。わかる人にはわかる仕掛けで観客と映画会社をあざ笑っている。
本編
皆さんのブラボー平均4.181ブラボー。最多ブラボーは4ブラボー。高いですね。
ポール・バーホーヴェンという監督は20年くらいハリウッドで撮っていて、その前はオランダで撮っていたオランダ人の監督。ハリウッドでは「氷の微笑」「ロボコップ」「スターシップ・トゥルーパーズ」「トータル・リコール」とかそれぞれ実は皮肉が利いている作品なんですが、概ねハリウッドテイストで作っていた。バーホーヴェン自身がハリウッド時代はスタジオの奴隷のようだったと言っているんですよ。ハリウッド時代の作品はある意味諦めていてアメリカの観客とアメリカの映画会社には複雑な人間観、世界観は伝わらないと諦めていて、悪い冗談、アイロニーにしてしか入れるしかなかった。だから、面白くなっていることもあるんですが。
古巣オランダに帰ってバーホーヴェンは手加減せずに彼の人間観、先ほど性悪説なんて出ましたけれども、人間の本性の悪なり、悪でもない。人間なんて所詮、いろんな状況に右往左往されるだけの中身は空っぽなものなんだというペシミスティックな人間観、ペシミスティックな歴史観、世界観いたいなものを手加減せずに描いた。その結果、バーホーヴェンならではのえぐい描写は確かにありましたよ。ヒロインが糞尿をぶっ掛けられたりするんですよ。確かに。何を描いているかというとナチスが出て来てもちろんナチスは悪なんですが、戦後ナチを糾弾する人たちの姿もまた同様に醜いわけですよ。ナチの中にも一人間として愛すべきものもいるし、ナチも悪魔ではない。一番ナチとして描かれる奴も音楽好きの愉快な男だったりもするわけですよ。音楽好きに悪い人はいないとかよく音楽好きのバカ言ったりしますが、そんなわけねえよ。ナチだって音楽好きの奴はいるよ。レジスタンス側にもとんでもない奴がいたり、ナチの協力者を糾弾する姿はナチの収容所以下だ。ある意味、現代にも通じる話ですよ。アブグレイブ収容所とかイラクで起こっている差別的扱い。人は一端敵と善をわけたとき物凄い愚劣な醜い存在になってしまう。
歴史観で言えば、ヒロインの苦悩がまだまだ続くのを案じさせるご意見がありましたけれども。映画全体が1956年10月とはっきりとした日付で始まる。1956年10月に主人公であるユダヤ人の彼女がイスラエルに移って幸せに暮らしている。回想して戦時中の話になる。さらに、1956年10月に戻って終わる。1956年10月はスエズ危機といって第二次中東戦争の始まり。劇中にヒロインがこの苦しみに終わりはないのと叫ぶんですが、終わりはないと突き放す。しかも「シンドラーのリスト」とかのナチものと違うのはシンドラーのリストは苦難を経てユダヤ人は約束の地にたどり着きました。良かったねと。さらに、イスラエルに着けて安心安心ではなくてさらに戦争が起こってイスラエル人は抑圧的な立場になっているところまで突き放している。暗示なんです。ハリウッド映画なら字幕で説明しちゃうところを暗示するだけ。大人ならわかるでしょうと。バーホーヴェンのスタンスが。一方では主人公の女性が苦悩するんですが、主人公の友達がいわゆるギャル、軽薄なんですよ。ナチ時代にはナチにつく、終わればこっちにつく何にも考えないへらへらしている奴。なんも考えずに幸せをつかんでいる。かたや偉そうに人に説教している理想が何とかと言っていた奴はてめえがかわいいだけだ。てめえがかわいいのはみんあ一緒だよ。すっかり嫌な気分になる映画に見えるですが、ちゃんとカタルシスもあって謎解きもある。悪役との決着もちゃんとつきますからよくできています。
4.7ブラボーです。
歯切れの悪さが「ブラックブック」に相応しい。良く出来た映画です。個人的には残虐シーンが見たかったです。その分、0.3ポイントです。素晴らしいです。ポール・バーホーヴェンというととんでも監督に見られますが、むしろデヴィッド・リーン
的な巨匠の風格です。堂々たるエンターテイメント。
(2007年3月30日TBSラジオ「ストリーム」より
)
バーホーヴェンのきれい事ではない、人間をありのままに描くのが本当に素晴らしい。宇多丸さんが指摘した人間なんて環境が変われば様々にころんでいくという指摘は鋭い。そして、1956年というところに目を向けたことも。中東戦争は過去4度起こり、今後もイスラエルでは火種が絶えることはなさそうである。いろんなところに目を配るバーホーヴェンは現在のアメリカの大半を占めていた二元論的考えによる映画作りに異議を唱えるものであった。バーホーヴェンがずっと抱きしめてきた思いが全て爆発した傑作であった。
2006年オランダ、ドイツ、イギリス、ベルギー
3月24日公開
公式サイト
監督:ポール・ヴァーホーヴェン
原案、脚本:ジェラルド・ソエトマン
音楽:アン・ダッドリー「Black Book [Music from the Music Picture]
出演:カリス・ファン・ハウテン
トム・ホフマン
セバスチャン・コッホ
デレク・デ・リント


RHYMESTER
監督のバーホーヴェンのファンだと。バーホーヴェンで一番有名なのは、「氷の微笑
複雑な話。主人公ラヘルを演じるのはオランダの「カリス・ファン・ハウテン」この映画でオランダ映画祭主演女優賞に。これで3度目の受賞。脱ぎっぷりが良い。ボーンとおっぱい出しますよ。バーホーヴェンはおっぱい大好きなんで、おっぱいだけではなくて、ユダヤ人を隠すために髪の毛を染めている。ナチスの将校に近づいて床を共にする。髪だけでは脱いだらばれるので下も染めなければいけない。そこもきっちりやります。ディティールだけではなく、素晴らしい映画です。
有名人の感想
小堺一機さん:人間に絶望した時にふと見える光とは何かそのこてを探そう。
おすぎさん:ナチスドイツが悪者と描く映画があってもレジスタンスの中に裏切り者がいたなんて初めて知った。戦争サスペンスを見事なエンターテイメントにしたポールに拍手。
ポールという馴れ馴れしさがインタビューをしたちかさを感じますね。あと、ストーリーのネタばれが入っています。人間に絶望が主眼です。世の中どっちが悪者、善い物ではないんですよ。ろくなもんじゃねえという人間観。
「トータル・リコール
本編
皆さんのブラボー平均4.181ブラボー。最多ブラボーは4ブラボー。高いですね。
ポール・バーホーヴェンという監督は20年くらいハリウッドで撮っていて、その前はオランダで撮っていたオランダ人の監督。ハリウッドでは「氷の微笑」「ロボコップ」「スターシップ・トゥルーパーズ」「トータル・リコール」とかそれぞれ実は皮肉が利いている作品なんですが、概ねハリウッドテイストで作っていた。バーホーヴェン自身がハリウッド時代はスタジオの奴隷のようだったと言っているんですよ。ハリウッド時代の作品はある意味諦めていてアメリカの観客とアメリカの映画会社には複雑な人間観、世界観は伝わらないと諦めていて、悪い冗談、アイロニーにしてしか入れるしかなかった。だから、面白くなっていることもあるんですが。
古巣オランダに帰ってバーホーヴェンは手加減せずに彼の人間観、先ほど性悪説なんて出ましたけれども、人間の本性の悪なり、悪でもない。人間なんて所詮、いろんな状況に右往左往されるだけの中身は空っぽなものなんだというペシミスティックな人間観、ペシミスティックな歴史観、世界観いたいなものを手加減せずに描いた。その結果、バーホーヴェンならではのえぐい描写は確かにありましたよ。ヒロインが糞尿をぶっ掛けられたりするんですよ。確かに。何を描いているかというとナチスが出て来てもちろんナチスは悪なんですが、戦後ナチを糾弾する人たちの姿もまた同様に醜いわけですよ。ナチの中にも一人間として愛すべきものもいるし、ナチも悪魔ではない。一番ナチとして描かれる奴も音楽好きの愉快な男だったりもするわけですよ。音楽好きに悪い人はいないとかよく音楽好きのバカ言ったりしますが、そんなわけねえよ。ナチだって音楽好きの奴はいるよ。レジスタンス側にもとんでもない奴がいたり、ナチの協力者を糾弾する姿はナチの収容所以下だ。ある意味、現代にも通じる話ですよ。アブグレイブ収容所とかイラクで起こっている差別的扱い。人は一端敵と善をわけたとき物凄い愚劣な醜い存在になってしまう。
歴史観で言えば、ヒロインの苦悩がまだまだ続くのを案じさせるご意見がありましたけれども。映画全体が1956年10月とはっきりとした日付で始まる。1956年10月に主人公であるユダヤ人の彼女がイスラエルに移って幸せに暮らしている。回想して戦時中の話になる。さらに、1956年10月に戻って終わる。1956年10月はスエズ危機といって第二次中東戦争の始まり。劇中にヒロインがこの苦しみに終わりはないのと叫ぶんですが、終わりはないと突き放す。しかも「シンドラーのリスト」とかのナチものと違うのはシンドラーのリストは苦難を経てユダヤ人は約束の地にたどり着きました。良かったねと。さらに、イスラエルに着けて安心安心ではなくてさらに戦争が起こってイスラエル人は抑圧的な立場になっているところまで突き放している。暗示なんです。ハリウッド映画なら字幕で説明しちゃうところを暗示するだけ。大人ならわかるでしょうと。バーホーヴェンのスタンスが。一方では主人公の女性が苦悩するんですが、主人公の友達がいわゆるギャル、軽薄なんですよ。ナチ時代にはナチにつく、終わればこっちにつく何にも考えないへらへらしている奴。なんも考えずに幸せをつかんでいる。かたや偉そうに人に説教している理想が何とかと言っていた奴はてめえがかわいいだけだ。てめえがかわいいのはみんあ一緒だよ。すっかり嫌な気分になる映画に見えるですが、ちゃんとカタルシスもあって謎解きもある。悪役との決着もちゃんとつきますからよくできています。
4.7ブラボーです。
歯切れの悪さが「ブラックブック」に相応しい。良く出来た映画です。個人的には残虐シーンが見たかったです。その分、0.3ポイントです。素晴らしいです。ポール・バーホーヴェンというととんでも監督に見られますが、むしろデヴィッド・リーン
(2007年3月30日TBSラジオ「ストリーム」より
バーホーヴェンのきれい事ではない、人間をありのままに描くのが本当に素晴らしい。宇多丸さんが指摘した人間なんて環境が変われば様々にころんでいくという指摘は鋭い。そして、1956年というところに目を向けたことも。中東戦争は過去4度起こり、今後もイスラエルでは火種が絶えることはなさそうである。いろんなところに目を配るバーホーヴェンは現在のアメリカの大半を占めていた二元論的考えによる映画作りに異議を唱えるものであった。バーホーヴェンがずっと抱きしめてきた思いが全て爆発した傑作であった。
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1. 『ブラックブック』&バーホーベン監督応援隊募集中! [ 映画『ブラックブック』公式ブログ〜バーホーベンはお好き?〜 ] 2007年04月16日 18:41
ただいま'''『ブラックブック』&バーホーベン監督応援隊を募集中'''です!
昨日24日から公開のバーホーベン監督最新作『ブラックブック』をごらんいただいた感想や
あなたの熱きバーホーベン監督への想いなどなどを
ぜひ'''あなた...
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1. Posted by ten_years_after 2007年04月16日 22:16
TBありがとうございました。





