2005年03月28日

「クライシス・オブ・アメリカ」から考える、アメリカ最新洗脳事情(ラジオより)

「クライシス・オブ・アメリカ(THE MANCHURIAN CANDIDATE)」2004年アメリカ
公開中(公式サイト
監督、製作:ジョナサン・デミ
製作:ティナ・シナトラ他
原作:リチャード・コンドン「影なき狙撃者
出演:デンゼル・ワシントン、メリル・ストリープ、リーブ・シュレイバー、ジョン・ヴォイト
crisisofamerica
あらすじなどはこちらでhttp://blog.livedoor.jp/ten_years_after/archives/16529584.html
以下の文は2005年3月22日のTBSラジオ「ストリーム」番組内、町山智浩氏のリポートを書き起こしたものです。

「クライシス・オブ・アメリカ」という映画について話す。ジョナサン・デミ監督ジョナサン・デミ監督作品)にインタビューできた。jonathndemme羊たちの沈黙」で有名な。それでアカデミー賞を取った。「羊たちの沈黙」はアメリカのフェミニストの人たちの間ではフェミニズム映画の金字塔と言われている。男社会の中で男に虐待されてる女の人を女の子が救うという話なので、象徴的なフェミニズムの話だと言われている。救う女警官もジョディ・フォスターですから。彼女はフェミニズムやレズビアンのアイコン(聖像)なんですよ。ジョナサン・デミ監督というのはいわゆる全共闘世代の人で、学生時代にフェミニズムの本や黒人解放運動の本を読んで影響された政治的な人なんです。この「クライシス・オブ・アメリカ」というのも凄い政治的な映画なんです。
大企業が悪役の話で、湾岸戦争の戦場で1つのアメリカ軍部隊が敵に拉致された。敵だと思ったらアメリカの大企業だった。アメリカ企業が部隊の全員を洗脳して、部隊長が戦場で大活躍してみんなを救ったという嘘の記憶を兵隊たち(10人程度)に植え付ける。国民的ヒーローになった部隊長が大統領選に立候補する。部隊長は上院議員の息子で、部隊長自身も洗脳されてて、脳内にマイクロチップを埋め込まれて、その大企業の意のままになるように操られていたという話。
ジョナサン・デミ監督は今地番行われている洗脳はテレビを使った洗脳なんだ。特にイラク戦争に関しては戦意高揚的なテレビニュースとかテレビ番組とかがイラク戦争を煽っていたのであって、そのことをジョナサン・デミ監督は言っている。象徴的な意味では大企業の一部であるブッシュ大統領とか、チェイニー副大統領cheneyが大企業の得になるように戦争を起こしたと言いたいんですね。戦争と利権に密着している政権。具体的にはハリバートン(http://www.halliburton.com/)という会社があって、チェイニーが昔社長に任命されちゃった企業がイラク戦争においては兵端業務(食料とか水とか供給する)をほとんど独占的に受注している。湾岸戦争のときにチャイニーがアメリカ政府にいた時にハリバートンに得をさせて、その後ハリバートンがチャイニーを社長にした。チェイニーが副大統領になってまたハリバートンに大量に受注した。イラクのインフラもハリバートンの独占。入札をちゃんとやっていないから、高い金額を政府が払っていて大問題になっている。それが「クライシス・オブ・アメリカ」の象徴的な意味なんです。
洗脳するとか偽の記憶を埋め込むとか脳にマイクロチップを埋め込んでロボットにするのは如何なものかという問題がある。SFだと思ってジョナサン・デミ監督に聞いたら、彼もシナリオを読んだ時そう思った。ありえないだろうと。研究所のリサーチをやっている人に会いに行ったら、ほとんど実現可能な段階まで来ているという話を受けたらしい。聞いてみたら、かなり進んでいて実現一歩手前までいっているよという話をされた。研究所の人も特別顧問でこの映画に入っている。

洗脳は(カルト)宗教で使われている。元々洗脳という言葉が使われたのは朝鮮戦争の時、アメリカ兵が中国軍の捕虜になって、その後帰ってきたアメリカ兵がみんな共産主義者になっていた。アメリカ人がびっくりして、これは洗脳だと。それで朝鮮戦争の頃から、アメリカ政府が洗脳の研究をし始めた。 日本ではシベリアに抑留された人も同じようなことをされたと言っている。(小西克哉さん)帰ってきて歌声運動したり。アメリカが極秘にやった。125人のアメリカ人に生体実験を1950年代やっていた。アメリカは物質的な国だから、思想洗脳するために手っ取り早く薬を注射した。その時に使われたのがLSDなんですよ。LSDはその後楽しい薬になりましたが、最初は軍事目的で使われていた。オークランドでふらふらしている若者をアパートに集めて薬を投与されていた。MKウルトラという実験で、ずっとアメリカ政府が秘密にしていたが、実験台にされていた人達が裁判をして明確になった事件。薬を打たれすぎて、廃人になった人もいる。
その後1960年代になって薬が駄目だということになって、直接脳みそに電気を送り込んで洗脳するというのはどうかと、実験を始める。イェール大学でこれは正式に行われて、アメリカの国防研究事業局という組織が正式な国家事業として行っていた。ホセ・デルガドというスペインの学者を呼んで来て、動物実験をさせた。猫の脳に電極を埋め込んで、目の前に生きたネズミを置いといて、ある電気を流すとそのネズミをすぐ殺す。牛に電極を埋め込んで、ある電気を流すと牛に突進して、ある電気を流すとストップする。刺激と反応の理論の応用です。これはスティモシーバーという技術で、スティムレーション(刺激)とレシーバーを合体させた言葉なんですが。
この後実験は滞って進まなかったが、ここ最近脳の研究が進み、飛躍的にマインドコントロールの技術が進んだ。大きく二つに分かれるが、一つは人間の体にチップを埋め込むという研究。コンピューターチップを埋め込む。一つは平和目的で、ケヴィン・ワービックという博士が自分の腕の中にマイクロチップを埋め込んで、腕の筋肉を動かすために神経というのは電気なので、マイクロチップに電気を流してそうすることによってマイクロチップから電波を発信させて、リモコンを動かすという技術を研究している。これがうまくいくと、まるで自分の指を動かすように義手をコントロールできるはずだと。彼自身はコンピューターをつけたり、消したりしている。
もう一つはベリチップという技術で、個人情報入れたチップを体に埋め込むことで、例えば体をスキャンするだけでクレジットカードを見せなくても買い物が出来るようになる。これはいろんな国の政府が導入しようとしている。二つ目的があって、電波発信機を埋め込むことが出るので、サテライトで人間を完全に監視できる。国民監視システムです。性犯罪者に対して埋め込むことは推奨されている。今体に取り付けているが、完全に埋め込んでしまう技術は完成している。拒否反応は無いかは分からないが、おっぱいにシリコン入れている人もいるし大丈夫だと思う。チップは米粒くらい。それを脳にどう結びつけるかで、それが二つ目の研究で、脳の中で何かを考えているかをどうやってコンピューターのコードのように信号を解析するかが研究されている。つまり、脳の中で何を考えているかアウトプットできないかと。例えば、機械を取り付けると、考えていることがコンピューターモニターに画で出たりする。それを研究しているのが脳のマッピングとか言われているものでバイオフュージョンの技術なんですけど。ロッキードマーティン社(NASAとも契約している)のノーシン博士という人がずっと研究している。ここも国防高等研究事業局からお金をもらっている。これを使うと考えていることがコンピューターにとれるということは逆にコンピューターから人間の脳に偽の記憶を入れることが出来る。今考えられているのは取り敢えず脳の記憶のデータをコードが読めなくても良いからデータとして取り出そうということを考えられている。それを取り出すと、その人が死んでもその人の脳のデータを全部保存できる。怖いのはAという人の記憶を取り出しといて、Bという人に入れてしまうと自分がAだと思ってしまう。恐ろしい研究なんです。一つ大きな問題があって、脳は最も複雑な構造物で、脳細胞が1千億個あるので。脳細胞は常に移動している。脳の半分を損傷しても、残っている半分でやっていた仕事を代行したりする。どこに何の機能があるか特定できない。Aということだけを考えることが出来なくて、例えば勉強していて、ラーメン食べたいとかあの子可愛かったなとかいろんなことを考える。関係ないノイズがあまりにも多すぎて解析できない。コンピューターで解析することが非常に難しいと言われているが、もし出来たら、「マトリックス」の映画みたいに一回も空手をしてないのに空手のうまい人の記憶を入れていきなり空手の達人になれる。童貞なのに百人斬りした人の記憶を入れられた童貞はどうしたら良いのだろう。
研究者の一人は今近眼の治療は常識になっただろう。安くて誰でも出来るだろう。わずか10年前にこんなに誰が考えていたんだ。脳の解析、脳のコントロール、洗脳ももしかしたら10年後には当たり前になっているかも知れないよと言っている。もう一人の研究者はモラル的に問題は無いのか、人間をロボット化をすることは大変なことじゃないか、人間のアイデンティティも簡単に書き換えられることは大変なことじゃないかと言われて、私がやらなきゃならないことは研究であってモラルを考えることが仕事じゃありませんと言った。モラル考えてもお金もらえないと言うことなんだと思いますが。
「クライシス・オブ・アメリカ」は見ていてSFみたいだけれど、実際は半分本当の話なんだよと言うところで怖いなという話です。
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体内埋め込みICチップに関して浜田和幸氏(浜田和幸の著作)の未来ビジネスを読むに載っていました。簡単に紹介します。
 カリフォルニア大学バークレー校エレクトロニクス研究所のピサーノ所長は、「生物医学的ナノテクノロジーの分野は、基礎研究をおおかた終え、実験段階に入っている」と述べている。例として、ジョン・グレン上院議員は、世界最高齢の宇宙飛行士として二度目の宇宙飛行をした際、グレン議員が超小型の無線機が内蔵された錠剤を飲み、グレン議員の体内から送られる無線信号を、地上の科学者たちが24時間モニターし、健康管理をしていた。
 ヴァージニア州立大学のムーア教授は、脳の電気信号を介してコンピューター操作する研究で着実な成果を上げている。人間の脳が発する信号を、近くのコンピューターワイヤレスで送信する。これを応用すると声を出せない人でも、頭に思い浮かべるだけで音声化された言葉を伝えることが可能になる。
 人体埋め込み式IDチップが脚光を浴びている。日本では日立製作所が2003年5月に開発した世界最小0.4ミリICチップが海外からも注目を集めているが、人体に対する実用化ではアメリカのアプライド・デジタル・ソリューションズ(ADS)社が開発した「ベリチップ(VeriChip)が先を走っている。ADS社の関連会社、デジタル・エンジェル社は位置追跡機能を持つ動物体内埋め込みIDチップで、大きな成功を収めている。販売実績は2500万個を超えた。今のところ、チップは米粒を少し大きくした程度だが、テキストにして6行、128文字分のデータを記憶できる。利用する場合には、人の前腕か肩に埋め込む。注射より痛みは少ない。
 ADS社は、もともと医療支援の目的でチップを開発した。病歴などを緊急医療担当者に瞬時に伝えるものであった。しかし、医療目的を想定する機器の場合には、アメリカ食品医薬品局の許可が必要だったが、ADS社の許可申請に対し、前例が無いとして承認は拒否された。ADS社は苦肉の策で、複数の返済疾患を患っているフロリダ州に住む家族に、「身分証用チップ」という名目で体内埋め込み実験を始めた。
 この先行使用によって、チップの体内埋め込み技術の是非に関するコック最適な論争に火がついた。イギリスでは「体内埋め込みチップ性犯罪者の行動を追跡することを検討し始めた。また、痛快犯罪の多いラテンアメリカ諸国では、誘拐される恐れのある企業幹部にチップを埋め込む試みも始まった。 アメリカ食品医薬品局もベリチップに関して、「医療情報を扱うばあインは規制対象の医療機器になるが、身分証明やセキュリティ、金融などの目的で利用するのであれば問題ない」との判断を下した。この中間判断を受けて、ADS社は、体内チップの利用方法を医療以外にも、安全対策と身分証明の分野にまで積極的に売り込み始めた。ADS社は空港や航空機内の安全支援システムを開発した。1つは「ベリパス」というワイヤレスで本人認証を行うもので、もう1つは、「ベリタグ」という乗客の持ち物に持ち主情報とリンクするワイヤレスIDタグをつけて、セキュリティ・チェックをスムーズにするものである。ICチップの分野では日本企業も激しく追い上げ、マイクロチップの性能に関してはアメリカの先行企業をはるかに凌ぐ可能性を秘めている。
 犯罪予防の分野でアメリカやイギリスは犯罪者として刑務所に入れられると、DNA情報が採取される。アメリカでは凶悪犯が出所する場合には、健康診断と称してマイクロチップを埋め込み、感情の起伏を1年半ほど監視するシステムが稼動している。イギリスでは、、刑期満了前の出所に対して「電子認証タグ」を足にはめられる。犯罪防止のために犯罪動向を予測し、対応策を考えている。

この本ではほかにも未来のビジネスについて書かれているが、それよりも西洋人の未来研究の凄さを痛感した。SF作家のH.Gウェルズやアーサー・C・クラークが未来研究者として登場するのも興味深い。H.G.ウェルズが原子爆弾を予想していて、日本に現実に落とされて落胆した挿話は読んでいて目に止まった。レーガンとブッシュ(父)がCIAなどが持ってきたデータを無視していたと話はやはりと思った。
この本に書かれたシンクタンクのホームページアドレスを紹介する。
www.rand.org
www.arlingtoninstitute.org
www.gbn.com
www.davinciinstitute.com
http://www.worldtrendsresearch.com/
www.wfs.org
ハリバートンなどの戦争ビジネスに関する戦争請負会社という本があります。傭兵の歴史から、現代の軍事ビジネスの実態までとても詳しく書かれています。
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私の好きなジョナサン・デミ監督の新作なので、是非見たいです。けれど小規模の公開で、しかもあまりメジャーではないところでの公開なのですぐ終わってしまうかもしれませんが。町山さんによるジョナサンン・デミ監督へのインタビューは映画秘宝5月号に掲載されています。サイゾー4月号に洗脳についての町山さんの記事がありますので興味のある方はどうぞ。


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